「明日、出られません」——今度は、一切笑いませんでした
2026-08-03

今日は、ちょっと深い話になります。
営業中に、突然、出勤していたスタッフから言われました。
「すいません、明日、出勤することができません。もともと予定が入っていて……」
明日です。明日。
皆さんに問題です
この人、実は——この前、遅刻してきた人なんですよ。「すいません、寝てました」の、あの人です。あのときは、ちゃんと謝ってきたので、僕は最後を笑いに変えました。
では、問題です。今日、僕は笑ったでしょうか。
答えは——一切の笑い、なしです。
理由はシンプルで、突然すぎるから。明日と言われて、店として対応できることが、ほとんど何もないんですよ。シフトはもう組んである。代わりを探す時間もない。それはさすがに、ダメだよなと。
でも、僕が笑わなかった理由は、それだけじゃないんです。ここからが、今日の本題です。
先に、はっきりさせておきたいこと
誤解されたくないので、先に書きます。
この人は、長時間の勤務を頼んでも、断る人なんです。
たとえばシフトを組むとき、「この日、6時間お願いできない?」って聞くと、「いや、それはちょっと大変なので、4時間でお願いします」って返ってくる。
——で、これね。僕は、ちゃんと飲み込んでます。
だって、当然じゃないですか。長く働きたくないというのは、その人の権利です。そこを責めるつもりは、まったくない。「権利を主張するな」なんてことは、口が裂けても言いません。それは、飲み込むしかないんですよ。 経営者として、当たり前の話です。
僕が言いたいのは、そこじゃないんです。

僕が言ってるのは、「お願い事」の話です
僕が引っかかってるのは、お願い事の、やりとりについてなんですよ。
こっちにも、お願いがある。あなたにも、お願いがある。
僕も飲み込む。あなたも飲み込む。
もちろん、毎回じゃなくていいんです。断られる日があっていい。でも——どっちかがお願いしたときに、お互い、たまには聞き合えるよねっていう。そういう関係でいたいんですよ。
今回のことで言えば、僕は「明日休みたい」を飲み込みました。それは、いいんです。飲み込むと決めたので。
でも、じゃあ逆に、店が本当に困ったとき。そのときは、その人にも飲み込んでもらいたい。これが、片方向になったら、おかしくなるんですよ。
上とか下とかの話じゃないんです。お互い様の話です。
関係って、対等じゃないと続かないと思うんですよね。
何を言ったか
じゃあ「厳しく対応した」というのは、具体的に何を言ったか。黙って不機嫌にしてたわけじゃありません。ちゃんと、言葉で伝えました。
「ちゃんと確認して、こういうことがないようにしないとダメだよ」
そして、もうひとつ。
「社会に出たら、こういうのは自分の責任として受け取らなきゃいけない。謝って済まされないことも、当然出てくるから」
これは、脅しじゃないんですよ。うちの店は、まだ「すいません」で済ませてあげられる。でも、この先ずっとそうとは限らない。だったら、うちで済むうちに、言っておくのが僕の仕事だと思ってるんです。
正直に言うと、残高が減ってます
前回の記事で「信用残高」の話を書きました。普段ちゃんとやってる人は、一回やらかしても大丈夫。それが、貯めておいた残高の使い道だ、と。
じゃあ今回はどうか。正直に書きます。
遅刻の次に、突然の欠勤。——残高は、ちゃんと減ってます。
これが、僕が笑わなかった、もうひとつの理由です。前回は残高から引けた。でも、続けて引かれたら、残高は目減りするんですよ。当たり前の話ですよね。
嫌いになったわけじゃないんです。この人、普段はちゃんとやってます。だから今も、僕は見てます。ここから積み直せる人なのかどうかを。
……と、ここまで言うとね、こう思いますよね
自分へのツッコミも書いておきます。
「長時間労働を断るのは、労働者の当然の権利でしょう。それを"貸し借り"の材料にするのは、経営者の理屈じゃないですか?」
——これは、もっともです。 そのとおり。
だから僕は、シフトの時間を断られたことについては、何も言ってません。飲み込んで終わりです。文句を言ったこともないし、それで評価を下げたこともない。権利は権利。ここは、動かしません。
僕が引っかかってるのは、**「頼み事に対する姿勢」**なんですよ。
うまく言えないんですけど。同じ「無理です」でも、**こっちのことを一瞬でも考えてくれた上での「無理です」**と、そうじゃない「無理です」って、伝わってくるものが違うんです。そして、自分がお願いする側になったときに、その差が出る。
なんというか——**"貸し借り"じゃなくて、"気持ちの往復"**なんですよね。僕が欲しいのは。
もうひとつ、自分へのツッコミ。
「そもそも、ひとり休んだくらいで回らない店の作り方が悪いのでは?」
……これも、そのとおりです。 完全に、こっちの課題です。うちはギリギリの人数で回してるので、ひとり抜けると即ピンチになる。それは経営者である僕の責任であって、スタッフのせいじゃありません。
そこは、ちゃんと直していかなきゃいけない。それは、はい、宿題です。

それでも、言葉にしてよかった
今日は笑いませんでした。空気は、ちょっと重くなったと思います。
でも僕は、これでよかったと思ってます。
笑いに変えられる日と、変えちゃいけない日がある。 全部を笑いにしてたら、僕が本当に伝えたいことが、いつか伝わらなくなる。
前回は笑いました。今回は笑いませんでした。この差が、その人に何か残ってくれたら——それでいいと思ってます。