「片付け終わったら、上がっていいよ」——ここだけの話です
2026-08-11

今日の話は、秘密でお願いします。
いや、本当に(笑)。うちのスタッフにも、同業の方にも、大きな声では言えない話なんですよ。でも、面白かったので、ここだけの話として書きます。
今日、こういうことをしました
閉店後、あるスタッフにこう言ったんです。
「片付け、早く終わったら、そのまま上がっていいよ。タイムカードは、9時まででいいから」
本来の上がりは、9時です。でも、片付けが早く終わったら、その分早く帰っていい。給料は、9時まで働いたことにして払う。
……これね、本来は、ダメなんですよ。分かってます。勤怠管理としては完全にアウトだし、他のスタッフに知られたら「あの人だけずるい」ってなる。だから、秘密なんです(笑)。
でも、僕には狙いがありました。

目の色が、変わったんですよ
これを言った瞬間ね——スタッフの目の色が、変わったんです。
「どうやったら早く終わるか」を、自分の頭で考え始めた。動きが、人が変わったみたいになった。ふだんの何倍もの速さで、しかもちゃんと、片付けが終わっていく。
見てて、めっちゃ面白かったです(笑)。
で、実際、早く終わったんですよ。ふだんより、ずっと。
種明かしをすると
なんでこんなことをしたか。
実はそのスタッフ、動きがちょっと遅いところがあったんです。丁寧なんだけど、遅い。注意するほどじゃない。でも、もうちょっと速く動けるはずなんだよなあ、って、ずっと思ってた。
でね、考えたんですよ。この子は「速く動けない」んじゃなくて——「速く動く理由がない」だけなんじゃないかって。
9時まで働いても、8時半に終わらせても、給料が同じなら、急ぐ理由がないんですよ。合理的なんです、ゆっくりやるのが。人は、仕組みの通りに動く。 券売機の記事でも書きましたけど、行動を変えたいなら、責めるんじゃなくて、仕組みを変えるんです。
だから今日だけ、仕組みを変えた。「早く終わらせた人が、得をする」仕組みに。
そしたら、本気の速さが出てきた。——あの子は、あんなに速く動けたんですよ。 本人も、たぶん今日、初めて知ったんじゃないかな。一回でも「本気で速い自分」を体験すると、それがその人の新しい基準になるんです。
僕はこれを、**「成長促進剤」**って呼んでます。
ただし——薬にも、毒にもなる
この促進剤、扱いには注意が要ります。
うまく使えば、薬になる。でも、使い方を間違えたら、ちゃんと毒になる。
毎回やったら、それが「当たり前」になって、効かなくなります。ただの早上がり制度です。
全員にやったら、今度は「早く終わらせる競争」になって、片付けが雑になる。
そして、こっそりやってるのがバレたら——「なんであの人だけ」って、不公平の毒が回る。
だから、用法・用量を守る(笑)。たまに、ひとりに、こっそり。効かせたい相手に、効かせたいタイミングで。薬って、そういうものですよね。
その日の終わりは、「いいこと」で締める
もうひとつ、今日やったことがあります。こっちは秘密じゃないやつ。
仕事が終わったあと、スタッフに**「今日、ここが良かったよ」**って伝えたんです。
ひとりには——お客さんに声をかけられたとき、ちゃんと対応してたこと。雑談だったんですけどね。雑談にちゃんと付き合えるって、立派な接客なんですよ。
もうひとりには——自分から「これ、やっていいですか?」って聞きに来たこと。 これはね、その場でこう言いました。
「言われてからやるんじゃなくて、自分から聞きに来た。それは、言われてやるより、何倍もすごいことなんだよ」って。
前に「いいことは、ちゃんと評価する」って書きました。評価って、ボーナスとか時給だけじゃないんですよ。その日のうちに、言葉にして渡す。 これがいちばん速くて、いちばん効く評価だったりします。

経営には、遊びが要る
まとめます。
真面目な話ばっかり書いてきましたけど、経営って、真面目一辺倒じゃ回らないんですよ。
たまに、遊びを入れる。 面白がらせる。ニヤッとさせる。そうすると、人って、思ってもみない動きを見せてくれるんです。今日の目の色の変わりよう、ほんとに見せたかったなあ(笑)。
ルールの正しさだけじゃ、人は本気になれない。面白さは、人を動かす燃料なんですよね。
——というわけで、今日の話は、くれぐれも秘密でお願いします。
うちのスタッフが読んでませんように(笑)。