朝7時から深夜1時だった僕が、9時に帰れるようになるまで
2026-08-05

今日は、ラーメン屋の一日について書きます。
「毎日どんな感じなんですか?」って、たまに聞かれるんですよ。で、答えようとすると——オープン当初と今とで、全然違うんですよね。そこがいちばん面白いと思うので、両方書きます。
オープン当初:朝7時に入って、帰りは深夜1時
最初のころ、僕の一日はこうでした。
朝7時に出勤。帰るのは、夜中の12時とか1時。
……ひどいでしょ(笑)。1日17時間とか18時間、店にいたことになります。
なんでそんなことになってたか。答えは単純で、どういう手順でやればいいのか、分かってなかったからです。
十年間、人の店で働いてきましたけどね。それは「自分の店を、自分の手順で回す」のとは、まったく別物なんですよ。何をどの順番でやるか。どこで待ち時間が生まれるか。何と何を同時に進められるか。——効率という考え方そのものが、僕の中になかったんです。
そして、オープン当初は改善なんてできない
もうひとつ、大事なことがあって。
お店って、オープンすると、お祝いのお花がずらっと並ぶじゃないですか。あれが出てると、お客さんもドカッと来てくれるんですよ。開店景気ってやつですね。ありがたい話です。
でもね。その真っ最中に、効率がどうとか、改善がどうとか、できないんですよ。
目の前の一杯を出すので、精一杯なんです。考える余裕がない。だから、非効率なやり方のまま、ひたすら体力で押し切る。それで朝7時から深夜1時になる。
これ、けっこう根深いジレンマだと思ってます。忙しいから改善できない。でも改善しないと、ずっと忙しいまま。 うちに限らず、たいていの店がここでハマるんじゃないでしょうか。
今の一日
で、今はどうなったか。
朝8時半に出勤して、夜9時〜9時半に終わります。
一日の流れは、こんな感じです。
- 8時半、店に入って、まずスープに火をつける
- そのまますぐ、メンマとチャーシューを仕込む
- その間に、ネギを切る
- 12時ごろから、昼のピーク
- 1時半ごろ、落ち着く → ここで夜の仕込みを始める
- 夜の営業
- 夜の空いた時間に、本来なら営業後にやる仕込みを、先にやっておく
- 閉店後は片付けだけ。だから、すぐ帰れる
朝いちばんに火をつけるのは、スープに時間がかかるからですね。その待ち時間に、メンマとチャーシューを進める。さらにその手が空く瞬間に、ネギを切る。——待ち時間に、別のことを差し込んでいく。この感覚が、最初は全然なかったんですよ。
いちばん効いた改善は、これでした
で、いちばん大きかった改善を書きます。
以前は、**3時から5時が「休憩時間」**だったんです。昼が終わって、夜が始まるまでの、あの空白の時間ですね。そこで、夜の仕込みをやってました。
それを、こう変えたんです。
1時半に落ち着いたら、その瞬間からもう始める。
3時まで待たない。「休憩時間になったらやろう」じゃなくて、「手が空いた瞬間にやる」。これだけで、かなり改善されました。
そしてもうひとつ。本来なら営業終了後にやる仕込みを、夜の暇な時間に前倒しするようにしました。
これが効いたんですよ。だって、閉店後にやることが片付けだけになるんですから。片付けたら、そのまま帰れる。深夜1時が、9時半になったのは、ここが大きいです。
要するに、こういうことなんだと思う
まとめると、僕がやった改善って、たぶんこの一行なんですよ。
「暇な時間」を、「休憩」じゃなくて「前倒しの時間」に変えた。
以前の僕は、暇な時間を「やっと空いた」って受け取ってたんです。で、決められた時間になったら、決められたことを始める。
今は違います。手が空いた瞬間に、あとでやることを、先に持ってくる。すると、あとの時間が空く。当たり前のことなんですけど、これに気づくまで、僕は何年もかかりました。
あ、それと。スープの作り方も、根本から見直しました。中身は企業秘密ということで書きませんけど(笑)——考え方だけ言うと、「いつ、どれだけ作るか」を組み替えたんです。味を落とさずに、時間の使い方だけを変える。ここが変わったのが、いちばん大きかったかもしれません。

ただし——前倒ししちゃいけないものが、ある
ここ、いちばん大事なので、はっきり書いておきます。
なんでもかんでも前倒しにすると、新鮮さが失われるんですよ。
たとえば、ネギ。前日に切っちゃえば、いちばんラクです。 朝の手間がまるっと消える。でも、やりません。当日の朝に切るから、あの香りと食感が出せるんです。
メンマもそう。前日から仕込んでおけば、本当に、すごくラクなんですよ。でも、当日の朝に仕込むことで、香りが少しでもいい状態でお出しできる。
だから僕は、何を前倒しして、何を前倒ししちゃいけないか——ここの線引きを、いつも意識してます。
線の引き方は、シンプルです。
前倒ししていいのは、「時間の使い方」。前倒ししちゃいけないのは、「味に直結すること」。
効率化っていうのは、全部でラクをすることじゃないんですよ。ラクをしていい場所と、絶対にラクしちゃいけない場所を、分けること。ここを見失うと、気づいたときには、味が落ちてます。しかも自分では気づきにくい。じわじわ落ちるので。
時間は削っていい。でも、お客さんの満足度に直結するところは、削っちゃいけない。 ここだけは、譲れないところです。

空いた時間で、何をしてるか
さて。朝7時〜深夜1時が、8時半〜9時半になりました。ざっくり、1日5時間くらい浮いた計算になります。
その時間で、僕が何をしてるか。
新しいことを、勉強してます。
AIを使って、いろんなものを作れるようになりました。うちの店のシフトを自動で作る仕組みとか、売上管理表を自動化する仕組みとか。以前なら「そんなの手でやるしかないでしょ」と思ってたことが、けっこう自動になりました。
そして——このブログです。
空いた時間の多くは、ここに捧げてます。今あなたが読んでるこの文章も、その5時間の中で書いてます。
だからね、思うんですよ。効率化って、ラクをするためだけのものじゃないんだなって。
削った時間で何をするか。そこが本番なんです。僕の場合、それが「新しいことを勉強する時間」になった。時間を作らなかったら、このブログも存在してなかったわけです。
朝7時から深夜1時まで働いてた4年前の僕に、これを教えてあげたいですね。