「求人って、してますか?」——辞めたスタッフの妹さんが、来てくれた話
2026-07-11

今日はね、ちょっと、うれしかった話をさせてください。
この前、お店に、あるお客さんが来てくれたんですよ。前にうちで働いてくれてたスタッフの、妹さん。
ラーメンを食べ終わって、帰り際にね、こう聞かれたんです。
「あの——求人って、してますか?」
僕、表向きは、いつもどおりの顔をしてたと思います。でもね、正直に言うと——心の中で、ガッツポーズしてました。
なんでガッツポーズなのか
うちを辞めたそのスタッフはね、僕がすごく信用してた子だったんです。仕事がていねいで、受け答えがまっすぐで。
辞めた理由もね、学校を卒業して、就職が決まったから。——ね、筋が通ってるどころか、むしろ、おめでたい卒業なんですよ。胸を張って送り出した、そういう辞め方です。
その子の妹さんが、「ここで働きたい」って言ってくれた。
これってつまり——その子が家で、うちのお店のことを、良く話してくれてたはずなんですよ。「いいお店だったよ」って。じゃなきゃ、妹さんがわざわざ「働きたい」なんて言わないですからね。
辞めて、就職して、お店を離れたあとも。信用って、生きてるんだなあって。そう思ったら、もう、ガッツポーズですよ。

経営者として、ちょっと現実的な話もすると
これ、きれいな話ってだけじゃなくてね。経営の数字としても、けっこうすごいことなんです。
求人広告って、出したことある方はわかると思うんですけど——1人採用するのに、だいたい1ヶ月かかるんですよ。で、お金も、10万円くらいかかる。それだけかけても、どんな人が来るかは、フタを開けるまでわからない。
それがですよ。信用してたスタッフの身内が、向こうから「働きたい」って来てくれた。 期間ゼロ、広告費ゼロ。しかも「あの子の妹さんなら」っていう、最初からの安心感つき。
こんな採用、お金じゃ買えないんですよね。
ただ、そのときは募集してなかったんです
正直に言うと、そのタイミングでは、スタッフが足りてたんですよ。だから、こう伝えました。
「今はごめん、募集してないんだ。でも、春になったら欠員が出るから——募集をかける前に、まず君に声をかけるよ」って。
これ、社交辞令じゃなくてね。本気の約束です。だって、求人広告に10万円払う前に声をかけたい人が、目の前にいるんですから。
「大事にする」って、優しくすることじゃない
で、ここからが、今日いちばん言いたいことなんですけど。
こういう話をすると、「スタッフを大事にしてきたんですね」って言われそうで。……まあ、そのつもりでは、やってきました。でもね、ひとつだけ、はっきりさせておきたいんです。
「大事にする」って、「優しくする」ってことじゃないんですよ。
僕、甘くないです。ダメなことは、ダメだって、しっかり言います。返事がどうとか、容器のすすぎ方がどうとか、細かいことまで言う。このブログを読んでくれてる方は、もう知ってますよね(笑)。
でも、その代わり——いいことは、ちゃんと評価する。 ちゃんと見て、ちゃんと言葉にして、伝える。
ダメはダメと言う。いいはいいと言う。その両方をサボらないことが、僕にとっての「大事にする」なんです。
甘いだけの店なら、辞めた子は妹に「楽なバイトだったよ」って言うかもしれない。でも「いいお店だったよ」って言ってもらえたのは——たぶん、厳しさと評価の、両方があったからじゃないかなあって。
信用は、あとから効いてくる
スタッフとの向き合い方って、その場では、損得がよくわからないんですよ。注意すれば嫌な顔をされるし、評価したって、すぐ何かが返ってくるわけじゃない。
でもね、こうやって——本人が辞めて、時間がたって、ぜんぜん別の形で、返ってくることがある。
信用って、スープの仕込みに似てるんです。火にかけてる間は、味の変化なんて、ほとんどわからない。でも、ちゃんと手をかけた分だけ、あとから、じわっと効いてくる。

春が来て、あの妹さんと一緒に働ける日が来たら——また、この続きを書きますね。